シジュウカラは3月頃に巣の中で産卵し、13~14日間の抱卵を経て孵化します。そこから2~3週間かけて大きくなり、巣立っていきます。あるお宅で庭に無人カメラ付きの巣箱をかけました。するとそこでシジュウカラが巣づくりをはじめてくれました。無人カメラで記録した1か月に及ぶシジュウカラの子育てをご紹介します。(文:藤井 幹)
(この記事は『自宅で楽しむバードライフ』 からの抜粋記事です)
3月12日
まずは巣づくり
コケや羽毛など巣材がぎっしり敷き詰められてふかふかのベッドができ上がってきました。準備は万端のようです。この上で卵を産み、雛を育てます。
3月20日
いよいよかな?
メスのようすがあやしくなってきました。そろそろ卵を産みそうです。シジュウカラの場合、メスは1日1個ずつ産みます。お腹の下に卵があるかもしれません。
3月27日
卵がある!
この時点で卵は7個。のちに全部で11個の卵が確認されました。メスは毎日健気に抱卵しています。卵が無事孵ることを祈るばかりです。
3月30日
メスが本格的に抱卵を開始
4月12日
孵化した!
抱卵開始から14日目。抱卵しているメスにオスが食べ物を運んで来ます。この日、初めて雛が確認できました!この日は5羽の雛が生まれました。
4月15日
雛は全部で6羽
雛の姿が映っています。11個のうち、6羽の雛が孵りました。生後3日目。まだ羽毛のない姿ですね。親鳥は抱雛といって雛をお腹の下に入れて温めていることが多いようです。
4月27日
巣立ちのときは近い
雛たちもすっかり大きくなり、羽も生えそろってきました。そろそろ巣立ちのときかもしれません。写真は親鳥が雛の排泄物(糞嚢)をくわえて持ち出すところです。
4月28日
雛たちは全員巣立っていきました
この日、すっかり大きくなった雛たちは全員巣立っていきました。少し寂しい気もしますが、自宅の庭でしっかり育ってくれてうれしくもあります。こうやって鳥たちの生活史―バードライフ―を観察できる。これも庭に鳥を呼ぶことで得られる楽しみの一つです。
あなたのお庭やベランダを、鳥たちとシェアしてみませんか?
お家やベランダに巣箱や水場、バードフィーダー(えさ台)などを設置すれば、さまざまな野鳥たちがやってきます。無人カメラを使うことで、鳥にストレスを与えずに巣箱の中の様子を観察することも。本書は自宅で野鳥観察を楽しむバードライフを提案します。そこはあなたにとっても野鳥にとっても憩いの場となるでしょう。
野鳥が庭に来る生活を楽しむ方法が満載です。
各種書店で好評発売中!
藤井幹 著 / B5判 / 104ページ
ISBN 978-4-8299-7515-2 2024年5月10日発売
定価2,200円(本体2,000円+10%税)
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Author Profile
藤井 幹(ふじい たかし)
1970年,広島県生まれ。(公財)日本鳥類保護連盟の調査研究室室長としてワカケホンセイインコの分布状況調査やコアジサシの研究などを行う。羽根には学生のころから魅せられ,収集に明け暮れていたが,収集だけでなく識別点にもこだわって取りまとめてきた。著書に『動物遺物学の世界へようこそ!〜獣毛・羽根・鳥骨編〜』(共著,里の生き物研究会),『世界の美しき鳥の羽根 鳥たちが成し遂げてきた進化が見える』『野鳥が集まる庭をつくろう―お家でバードウオッチング(共著)』『野鳥観察を楽しむフィールドワーク』(誠文堂新光社)。