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6/18 2019

生物を撮る! 若手写真屋3名によるLaowaレンズの極意

両生・爬虫類、土壌動物、昆虫の若手写真屋3人(越智 慎平、吉田 譲、法師人 響)は、どんなレンズで生物を撮影しているのか? Laowaレンズと生物写真撮影のこだわりについて解説していただきます。
 
 
Laowaは2014年に設立された比較的新しい、中国のVenus Optics社(Anhui Changgeng Optics Technology)により展開されているレンズブランド。
現行で最大クラスの撮影倍率を持つマクロレンズや被写体ギリギリまで近づいて撮影可能な広角マクロレンズ、水中で使える虫の目レンズなど、昆虫や花など小さな生き物の撮影に適したレンズを多く発売しており、近年生き物好きの中でも注目を集めている。
そんなLaowaのレンズの魅力を、両生・爬虫類、土壌動物、昆虫の若手写真屋たちで紹介していこうと思う。

Laowa 60mm f/2.8 2X Ultra-Macro - 最大撮影倍率2倍で撮影可能なマクロレンズ

Laowa 60mm f/2.8 2X Ultra-Macroのピントリング(上)、絞りリング(下)。今回紹介するレンズは全て電子接点がない。つまりレンズとカメラ本体が電子的に繋がっておらず、本体側からピント合わせや絞りの調節が出来ないため、全てレンズ上のリングを回して手動で行う。またEXIF情報も残らないため、記録を残すには適さない。

今回紹介するLaowaのレンズは全て電子接点のないマニュアルフォーカス専用で、それゆえか比較的安価だが、いずれのレンズも描写はシャープでボケ味が美しい。また以下に紹介するように、他社製のレンズにはない独自の機能を持った、使っていて楽しい!と思えるレンズが揃っている。

Laowa 60mm f/2.8 2X Ultra-MacroはVenus Opticsから最初にリリースされたレンズで、単体で最大撮影倍率2倍を実現したマクロレンズだ。
小さな被写体を大きく写すには、通常マクロレンズを用いて撮影する。ただ各社から発売されているほとんどのマクロレンズでは等倍(センサーサイズがフルサイズだと3.5cmが画面横幅いっぱいに写る)が最大倍率だが、このレンズはそれらのレンズより最短撮影距離がさらに短く、ギリギリまで近づけば最大撮影倍率2倍で撮影可能。要は従来のマクロレンズより、単純計算で2倍の大きさで撮影することが出来るのだ。

(撮影:越智)シャクトリムシを見つめるモリアオガエルの幼体。Laowa 60mmの撮影倍率であれば、わずか体長1cmほどのカエルでも大きく写すことが可能だ。モリアオガエルは4-6月に産卵し、孵化後1ヶ月ほどで変態する。タイミングが良ければ、変態直後の幼体が繁殖地の水際の草木に大量に登っている場面を観察出来ることも。

標準的な60mmマクロとの比較。同じ撮影距離であれば写る大きさは同じだが、Laowa 60mmは最短撮影距離(撮影可能な被写体との最短距離)が標準的なマクロと比較して短く、より被写体に近づいて大きく写すことが可能だ。

ピントが最短撮影距離に近づくほど、前玉が鏡筒の奥に移動する構造になっており、鏡筒自体の長さは変わらない。高倍率での撮影時は暗くなりやすいので、ライティングには注意が必要だ。

(撮影:吉田)体長3mm程(触肢を伸ばして7mm程)のPararoncus sp.(カニムシの一種)。寒い時期に姿を現し、暑い時期は全く見つからない。石や倒木などの下から見つかる冬の楽しみの一つ。他のカニムシと比べると体型がスリムで腕が細長いのが特徴。獲物を見つけるとはさみで捕えるが、小さい獲物の場合は顎鋏(いわゆる口の部分)でそのまま捕まえることもある。レンズ単体でこの倍率で撮影できるため、ガラス細工のような質感や毛を繊細に描写してくれた。Laowa 60mmで最大倍率の2倍(APS-Cセンサーのフルサイズ換算で3.2倍)で撮影。

(撮影:越智)赤い頭と尾が美しいボルネオアオマタハリヘビは、体長の1/3に達する巨大な毒腺を持つ危険なコブラ。半地中性で、主にヘビを捕食する。危険を感じると、尾の先を巻いたまま持ち上げて威嚇する。東南アジアに広く分布するが、ボルネオに固有の本亜種は背中のストライプが特徴。このレンズはAFが使えないのは不便だが、通常のマクロレンズのように決して小さくない被写体ももちろん撮影可能。

Laowa 25mm f/2.8 2.5-5X Ultra Macro - 撮影倍率2.5〜5倍のウルトラマクロ専用レンズ

2018年にリリースされたレンズ。こちらも等倍を超える倍率で撮影出来るマクロレンズだが、上記の60mmを大幅に超える最大5倍での撮影が可能。
最小撮影倍率でも2.5倍で、無限遠撮影は出来ない、マクロ撮影専用のレンズだ。使用場面は限られ、お世辞にも使いやすいとは言えない。しかし通常のマクロレンズでは満足出来ない、さらなるマクロの世界を撮影したい方には絶対にお勧めしたいレンズだ。

(撮影:吉田)体長2mmほどのシママルトビムシ。主に石下や落ち葉層などにいて菌類など食べている姿がよく見られる。跳躍器という跳ねるためのバネのような器官が腹部の下面にあり、身の危険を感じるとピョンと跳ねて一瞬で視界から消え去ってしまう。そのような敏感な被写体でも、Laowa 25mmだとレンズが小型なためあまり驚かさずに近くまで寄って真横から撮影することが出来た。Laowa 25mmの最大倍率で撮影(APS-Cセンサーのフルサイズ換算で8倍)。

最小倍率での長さは83mmで、最大倍率(レンズを伸ばしきった状態)での長さは137mm。ワーキングディスタンス(ピントが合う場所とレンズとの距離)はどの倍率でも40mm前後で、2.5倍での撮影時で45mm、 5倍での撮影時で40mm。ワーキングディスタンスの幅が短いためカメラを動かす距離も短くてすむため、小さく見失いやすい極小の生き物を撮影する際にはメリットになるだろう。
他のマクロレンズと比べて鏡筒が細いのが特徴で、大きなレンズだと狙い辛かったローアングルからの撮影がし易い。レンズ径も小さいのでライティングは難しくないが、高倍率になると露出倍数がかかる(倍率が高くなればなるほどより暗くなる)ため、十分な光量が必要となる。
今まで超高倍率撮影が可能なレンズは実質キャノンのMP-E65mm F2.8しか選択肢がなかったが、本レンズの登場により、キャノン以外のユーザーにも超高倍率撮影が容易になった。

Laowaのマクロレンズでの超高倍率撮影

接写リングやテレコンバーター、クローズアップレンズなどのアクセサリーを使用すれば、さらに撮影倍率を上げることが可能だ。

ケンコーのデジタル接写リングセット。全て装着して撮影することも出来る。

接写リングは中が空洞になっている筒状のもので、カメラ本体とレンズの間に挟んで装着し、焦点距離を短くすることで倍率をあげることができる。画質の劣化が少ないが、倍率の上げ幅はそこまで大きくないうえにピントが合う距離が極端に制限される。メーカーによってはエクステンションチューブとして販売されている製品もあるが、どちらも同じもの。

ケンコーのテレプラス HD 2X DGX。焦点距離を2倍に伸ばすテレコンバーター(エクステンダー、テレプラスなども同じ意味)で、野鳥など遠い被写体を撮影するためにもよく使用される。

テレコンバーターは接写リングと違い、内部にレンズが入っており、撮影倍率を1.5倍前後〜2倍ほども上げることが出来る。但し欠点として、画質の劣化が起こり倍率に応じて1〜2段ほど暗くなる。
クローズアップレンズはレンズの先に装着することで簡単に倍率を上げられるもので、低倍率から高倍率まで様々な商品が販売されている。ただし、ワーキングディスタンスがかなり短くなるため、ライティングに工夫が必要となる。
Laowa 60mmは先に説明した通り、単体で無限遠から2倍のマクロ撮影まで可能なレンズで、土壌動物など小さな被写体を撮影するためには非常に有用だ。そして上記のアクセサリーを使用すればさらに撮影倍率を上げ、より小さな被写体も撮影出来る。

(撮影:吉田)体長9mmほどのネッタイコシビロダンゴムシの正面顔。普通のダンゴムシと違い、樹皮下に生息しているためか体高が低く、縁が平たくなっている特徴的な種。熱帯、亜熱帯に分布するグループで、国内では沖縄県に分布する。ダンゴムシは動きが遅いと思われがちだが、走り始めると意外と速くて驚く。Laowa 60mmにケンコーのデジタル接写リングセット計68mm分(12mm、20mm、36mm)を付けて最大倍率で撮影(APS-Cセンサーのフルサイズ換算で6.4倍)。

もちろん、Laowa25mmに接写リングを使用すれば、さらに高倍率での撮影が可能。

(撮影:吉田)体長1mm弱のヒメマメザトウムシ幼体。眼が非常に発達しており、足元に来たトビムシや双翅目などを眼で見つけて触肢を伸ばし捕食する。成体でも1.5mm前後にしかならない非常に小さな種。1年のうちで主に梅雨時期前後に見つかるが、夏になるとすっかり姿を消してしまう。Laowa 25mmに68mm分の接写リングセットを付けて最大倍率で撮影(APS-Cセンサーのフルサイズ換算で11.7倍、画面横幅3.0mm)。

Laowaのマクロレンズでの深度合成撮影

Laowaのマクロレンズは簡単に等倍以上の高倍率撮影が可能なため、肉眼では捉えきれない細部まで写すことが出来る。ただ高倍率撮影の欠点として被写界深度が薄くなってしまう。そこで深度合成を行うことにより、高倍率撮影の写真でもより広い範囲にピントの合った、鮮明な写真を撮影することが出来る。

(撮影:法師人)これは昆虫好き以外にも馴染みが深いであろうシロスジカミキリ。日本に分布するカミキリムシの中では最大級の種だが、近年里山環境の荒廃などにより減少傾向にあるという。Laowa 60mmレンズの倍率を2倍に合わせてグッと近寄ると、肉眼では見ることのできない繊細な毛並みが見えてきた。160枚の画像を合成しているが、絞り羽根の枚数が多いため、前後ともに自然なボケが得られた。そういった面では深度合成向きのレンズだといえるだろう。

撮影には微動が行える撮影台が必要になるが、これは顕微鏡のステージで代用することができる。画像の合成については、PhotoshopやフリーソフトのCombineシリーズ、Helicon Focusなどがよく使われる。ソフトごとに特徴があるため、用途や被写体に応じて使い分けが必要になるだろう。

(撮影:法師人)アオゴミムシ。金属光沢が美しい。ゴミムシと呼ぶにはあまりにも美しい種だが、河川敷や田んぼなどの湿地で普通に見ることができる。72mm分の接写リングを取り付けての撮影になるが、驚いたことに高い解像力を維持している。184枚を合成。

また、ミラーレスカメラに取り付ける場合は、ヘリコイド付きのマウントアダプターを介することで、接写リング使用時と同じく倍率を稼ぐことができる。

LAOWA 15mm F4 Wide Angle Macro - 等倍でのマクロ撮影が可能な広角レンズ

2016年に登場したLaowaの代表的なレンズの一つ。15mmという広角レンズでありながら、等倍でのマクロ撮影が可能な、まさに唯一無二のレンズと言える。

(撮影:法師人)オオミノガ。いわゆるミノムシである。この虫も近年は減少傾向にあるという。幼虫の紡ぎ出す糸は自然界でも他に類を見ない強度を持ち、工業製品への利用が期待されている。普段であれば見つけても素通りしてしまうような虫であるが、15mmの画角を通してみると画面に引き込まれるような面白い写真となった。

描写はシャープ。隅の流れにも強く接写撮影もしやすい。
等倍でのマクロ撮影が可能だが、等倍での撮影時の焦点距離は恐ろしく短く、ライティングやピント合わせを考えると現実的ではないかもしれない。また接写時は背景もボケやすいので、実際は0.4〜0.7倍ぐらいが実用的な最大倍率と言えるのではないだろうか。

(撮影:越智)ニホンアカガエルとナキツギオヤモリを白バック撮影。広い画角と短い焦点距離を生かして、「魚眼っぽい」躍動感のある写真を撮影することも可能だ。

このレンズに搭載されているシフト機構は、一般的に建築物などの広角撮影時に生じるパースを補正するためのものだが、マクロ撮影において応用することができる。
使い方は簡単で、銀色のストッパーを押さえながらレンズを上下にスライドするだけである。

(撮影:法師人)オナガタイマイは集団で給水に訪れるチョウの中でも特にカラフルで、つい撮影したくなってしまう種だ。翅の鮮やかなグリーンが美しい。

左の写真はシフト機構を使用せずに撮影した写真だ。オナガタイマイの脚が、画面の下部にはみ出してしまっている。なんとか全身を収めたいところだが、すでにカメラは地面に接地してしまっており、これ以上視点を下げるのは難しい。ローアングルを狙う方ならば誰もが経験する悩みだろう。そこで先程と同じ場所から、レンズを下方向にシフトして撮影してみよう。
より地面に近い範囲をフレームに収めて、オナガタイマイの全身を撮影することができた。

(撮影:法師人)このハラビロカマキリもシフト機能を生かして撮影している。上方向にシフトすることで、見上げるような構図を楽に作ることができる。指を差し出すと獲物が現れたと思い、一瞬前脚を振り上げるので、そのタイミングを狙ってシャッターを切った。2018年は例年より暖かかったためか、12月になっても日向にオオカマキリやハラビロカマキリが見られた。

また、15mmは比較的回折現象の影響が少ないため、このような場面でも思い切って絞ることができる。この写真では最小絞りのF32まで絞って撮影している。
ただし画角が広く、写り込むオブジェクトが多い分、激しい明暗差による白飛びや黒潰れが起こりやすい点に注意したい。これはRAWデータを編集することで対応できるが、ある程度はカメラ側のダイナミックレンジが求められるだろう。

(撮影:越智)ボルネオアカニシキヘビはボルネオの固有種で、主に低地熱帯雨林の水辺の近くに生息する。ツチノコのような太く短い体型が特徴的。地上性の待ち伏せ型の捕食者で、主にネズミなど小型哺乳類を捕食する。体は長くないが筋肉質で力強く、勢いよく獲物に飛びかかる。気性が荒い個体が多く、毒はないが噛まれると怪我をする可能性が高い。

マクロ撮影だけでなく、通常の広角レンズと同じように引いて撮影することも出来る。15mmと画角が広いため、周辺の流れには注意が必要。

Laowa 24mm f/14 2X Macro Probe - Laowaバージョンの虫の目レンズ

一見するととてもレンズには見えないが、これも最大倍率2倍で撮影可能なマクロレンズ。プローブの名の通り、鏡筒は長い棒状で、先端にレンズが付いている。

昆虫撮影に詳しい方ならご存知であろう、所謂虫の眼レンズのLaowaバージョンといえる。
接写して高倍率で撮影出来る魚眼レンズで、小さな被写体を背景を入れて撮影することが可能だ。上記の15mm広角レンズよりもさらに高い、2倍での撮影が可能で、より小さな被写体を撮影することに向いている。

(撮影:吉田)ミズマルトビムシは冬~春にかけて水辺で見られるオドリコトビムシ科の一種で、雌で体長1mm弱、雄で0.5mmほどと非常に小さなトビムシ。雄が触角にある把握器という部分で雌の触角を掴んでいて、踊っている様に見えることからオドリコトビムシという名が科名と属名につけられている。また、跳躍器の端節という部分がオールのように横幅が広くなっており、水面でも飛び跳ねることができるのも特徴の一つ。

通常、このくらいの倍率(レンズの設定は等倍)になると、普通のマクロレンズでは相当絞らないとこのような被写界深度が得られず小絞りボケを起こしてしまう。この写真はF値16で撮影しているが隅の歪みもあまり目立たず、意外にシャープなことに驚いた。また、レンズが非常に細長いため、よりローアングルでの撮影が可能となったほか、被写体にあまり刺激を与えずに撮影することができる。

F値はなんと解放でf14。このままでは非常に暗いので、レンズ先端に円形にLEDライトが搭載されている。

また防水仕様のため、水中にレンズの先端を突っ込み撮影することも可能。
水中の昆虫や、泳いでいる魚に近づいて撮影することも出来そうだ。
レンズを被写体や障害物にぶつけてしまいそうだが、生き物に近づきやすいメリットはあるだろう。

(撮影:吉田)ヤマアカガエルの幼生。冬の終わりから早春にかけて繁殖期を迎えるヤマアカガエル。ニホンアカガエルが主に平地に生息するのに対し、本種は主に平地の山際から山地に生息している。鳴嚢を大きく膨らませてなくその声はとても特徴的で、「キィララララ」などと聞こえるが、笑い声のようという人も。この声を聴くと、今年も春が来るなぁと実感する。卵から孵った幼生は様々な有機物を摂食する。

(撮影:吉田)冬から早春にかけて繁殖期を迎えるトウキョウサンショウウオは、水田や湿地などに丸まったクロワッサンのような卵のうを雌1個体が1対産卵する。その後、順調に発生が進むと私が観察している地域ではだいたい4月頃には幼生が出始めて、5月上旬に撮影したこの個体はまだ全長1.5cmほど。2倍まで撮影できるので、まだあどけない顔を大きく拡大して撮影してみた。

レンズをそのまま水中に入れられるメリットとしては、水面の反射を気にする必要がなくなりライティングが楽になることと、カメラ本体を沈める必要がないため水中の砂や泥などが舞いづらくなること、レンズが非常に細長いため水深が浅くても水中写真が撮れることなどが挙げられる。上の2枚の写真は、レンズを5〜10cmほど水中に突っ込んで、水面からストロボを炊いた写真。グッと近づいてマクロ、少し引いて広角マクロと様々な使い方ができる。ただし、解放F値が14と非常に暗いレンズのため、特に水中ではビデオ用ライトやストロボを工夫しないと撮影はなかなか難しい。

(撮影:吉田)水田や湿地などに生息するスジブトハシリグモ。水際や草に第4脚をかけてその他の脚は水面に置き、振動などを感知してオタマジャクシや小魚、昆虫等の獲物を捕らえる。腹部背面の黒褐色の太い筋が波打つのが特徴。

レンズの特性を生かし、水面ギリギリまでレンズを近づけてほぼ真横から撮影した。脚が水に沈んでいないことがよく分かる。

(撮影:吉田)沖縄本島のヤンバル地域に生息するハナサキガエルは、高いジャンプ力で一瞬にして姿を消してしまう。冬に繁殖期を迎え、山地の渓流上流部の夜に一斉に集まる様子は圧巻(それゆえにライトで長時間照らしたり、ストロボを多数当てるなどすると観察圧がかかり繁殖に影響を与えかねないので注意したい)。

こうした大型の被写体についても広角レンズとして撮影することができる。通常の広角レンズと比べると写りがやや甘い印象を受けるが、本レンズの特徴を生かせば表現の幅をぐっと広げてくれるので今までにない写真が撮れることと思う。

この筒状のレンズには19群27枚ものレンズが使用されている。

これまで昆虫など小さな生き物を広角で撮影するには上記のLaowa15mmのような接写が可能な広角レンズか、虫の目レンズを使用するしか方法がなかった。しかし広角レンズは一般的にレンズ径が大きいため被写体に近づきにくく、また撮影倍率も高くはない。また従来の虫の目レンズでは描写があまり良くないという問題もあった。しかしこのLaowa 24mmでは細長い鏡筒のおかげで被写体に近づきやすく、またこの高倍率・画角でも比較的描写はシャープ。
 
 
以上4つのLaowaのレンズを紹介したが、どのレンズも他のメーカーのレンズにはない独自の特徴があり、今までと違った視点で撮影することが可能なはずだ。そしてなにより、Laowaは生き物を撮影している人の、現場の需要をよくわかっていると感じる。
生き物好きなBuna読者の皆さまも、Laowaのレンズで今までとは一味違った生き物の写真に挑戦してみてはどうだろうか。

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Author Profile

越智 慎平

1987年生まれ。兵庫県在住。日本爬虫両棲類学会会員。
オーストラリアで生物・環境保護を学び、帰国後サラリーマン生活の傍ら両生・爬虫類をメインに撮影。最近の撮影テーマはボルネオの両生類・爬虫類、地元のタワヤモリとサンショウウオ。写真はボルネオの市場でジャワヤスリヘビを堪能する筆者。
HP : https://nfulochi.wixsite.com/neko
Twitter : https://twitter.com/Nyandful2?lang=ja
Facebook: https://www.facebook.com/shinpei.ochi

Author Profile

吉田 譲

1988年生まれ。千葉県在住。日本自然科学写真協会、土壌動物学会会員。
東京農業大学で分子生物学を専攻後、環境調査の会社に就職。猛禽類や哺乳・両生爬虫類の調査を担当しつつ、趣味で妻と共に土壌動物の撮影を行っている。特に力を入れているのはカニムシとザトウムシ。
HP : http://cagilis.jimdo.com/
Blog : http://bufoninus.blog47.fc2.com
Twitter : https://twitter.com/bufoninus?lang=ja

Author Profile

法師人 響

ネイチャー系クリエイター集団「Tokyo bug boys」として活動中。様々な野生生物を撮影する傍ら、故郷茨城で昆虫の分布調査も行う。生物の多様性や自然の美しさを、多くの人に届けたいという思いが活動の源となっている。
Twitter : https://twitter.com/tritomini?lang=ja
Instagram: https://www.instagram.com/tritomini
Facebook: https://www.facebook.com/hibiki.hoshito

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