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植物

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11/22 2018

コケって食べられるの?! 嫌われ者ゼニゴケ・ジャゴケの意外な魅力

最近はコケブームでコケ女子が森にコケ観察へ出かけたり、テラリウムやミニ盆栽でコケを育てたりしています。もふもふしたコケの手触りや、小さく愛らしい姿に癒やされているようだ。
 
そんな中、癒やしとはかけ離れ、ブームの仲間入りをさせてもらえない嫌われ者のコケがいる。ゼニゴケだ。

ゼニゴケはお庭の嫌われ物

雑草のように庭にはびこるゼニゴケを退治したいということなのか「枯らし方教えてくれませんか?」職業柄、そんな質問がよく来る。
「えー、ゼニゴケを枯らすにはですね。食酢を3倍程度に薄めてかけると・・・」いやいや、そういうことではなく、私はすべてのコケを平等に愛するコケ屋。ゼニゴケも等しく愛さなければならないのだ!
 
そもそも、どうしてゼニゴケは嫌われているのだろう?
•ベトッとして気持ち悪い
•吸盤みたいのが気持ち悪い
•剥がすと裏に毛が生えていて気持ち悪い
•勝手に生えてきて邪魔
聞いてみると、こういった答えが返ってくる。まあひどい言われようなのです。

嫌われ者の魅力

さて、気を取り直してゼニゴケの良いところを探してみましょう。まずはしゃがみ込んで目線をコケの高さまで低くして。そう「コケ目線」というやつです。ゼニゴケは春と秋にヤシの木のような傘をいっぱいつけます(ゼニゴケの雌器托)。
 
コケ目線でのぞき込むと、小さくなってコケの森へ迷い込んだよう。なんだかわくわくしませんか?

春・秋に出るゼニゴケの傘はチャームポイント

ゼニゴケよりもさらに気持ち悪いコケをご存じではないでしょうか? その名もジャゴケ
ジャゴケのジャは邪魔者のジャではない。コケの表面がヘビのウロコのような模様をしていて、ヘビ柄のコケと言うことでジャゴケ(蛇苔)ということ。この説明を聞くとますます気持ち悪い存在に…。
なにしろ、ジャゴケをルーペで覗いてもらったところ、今まで出会ったコケの中で一番気持ち悪いと言われたことがあります。

ジャゴケ

ジャゴケに近づいて観察するとヘビのウロコのように見えます

ジャゴケはしっとりとした土の上や、水がしたたる沢沿いの斜面などによく生えています。ゼニゴケと比べると少ないですが、都内でも生け込みの中などに生えているのを見かけることがあります。

都会でも見ることができるジャゴケ。二子玉川の生け込みにて

そんなジャゴケにも意外な一面があります。それは香りがすること。ジャゴケを見つけたら表面を指で強めに擦ってみましょう。松葉のような爽やかな香りや、マツタケのようなキノコ臭も感じられます(実際にマツタケオールというマツタケにも含まれている香り成分を含有している)。

コケ料理への挑戦

マツタケの香りと聞いて、もう一つ思い浮かんだのが、食用にできないかということ。炊き込みご飯やお吸い物にして、マツタケの香りがすれば、お得な感じがするじゃないですか。しかし、これまで人類はミズゴケの天ぷらなど一部の特殊な例を除いてコケを食用にはしてきませんでした。その大きな理由は「美味しくない・栄養が極めて少ない」という致命的な欠点。しかし、そんなところで諦めないのがコケを平等に愛する者の宿命。プロの調理人を仲間に引き込み「ジャゴケ食の会」を立ち上げました。
 
試作・試食を繰り返し、コケおむすび・ジャゴケペペロンチーノ・ジャゴケ寒天などなど数々の料理を考案。中でも傑作はコケ(MOSS)バーガー。バンズにもたっぷりジャゴケが練り込まれており、よく噛むとジャゴケの風味も感じられます。

ジャゴケを利用したMOSSバーガーセット

2018年夏に開催した苔食パーティーのメニュー表

ただ、当初期待していたマツタケの香りは調理段階でほとんど飛んでしまい、マツタケの代用にするにはまだまだ研究が必要。今後の展開に期待してください。
※すべてのコケが食用になるわけではありません。アレルギー物質を含む種類や寄生虫がいることもありますので、むやみに食さないよう注意して下さい。

ゼニゴケ・ジャゴケ鑑賞のススメ

さて、そんなジャゴケ・ゼニゴケを室内で育てるのにお勧めの方法がガラス容器で育てるテラリウム栽培。これらの種類は、蓋を閉じて密閉性を高めるテラリウムだとひょろひょろと徒長してうまく育ちにくいので、深さがややあって蓋がなく通気のとれる容器だとうまく育ちます。乾燥には特に弱く極端に乾かすと立ち直るのに時間がかかるため、乾かさないように常に土を湿らせておく必要があります。ゼニゴケ・ジャゴケの育て方・テラリウムの作製方法については弊著『部屋で楽しむ小さな苔の森』(家の光協会)に詳しく書いてあります。栽培してみたい方は参考にしてください。

ゼニゴケを室内で育てるにはフタの無いテラリウムがおススメ

ゼニゴケ/ジャゴケの育て方を解説しています

 
嫌われもののコケですが、ちょっと可愛い一面、面白い一面を感じませんでしたか? 近い将来育てる園芸植物として、室内やお庭で楽しむ日も来るのではないかと期待しています。
 
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Author Profile

石河 英作

2013年植物を育てるきっかけ作りをコンセプトに「道草michikusa」を立ち上げ,コケの企画商品販売のほか,ワークショップや観察会などを企画しています.園芸の脇役であったコケを主役にすることを夢見て活動中.
道草HP:https://www.y-michikusa.com/

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