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Insect

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4/24 2024

トンボって、どんな昆虫?

キラキラと輝き、力強く空を舞うトンボ。
日本の風景の一部ともいえるトンボですが、いったいどんな生きものなのでしょうか?
 
2024年に発売された最新図鑑『トンボハンドブック』からトンボの基礎知識と、一度は見たことのある日本のトンボ6種類を美しい生態写真でご紹介します。
 
写真・文章:尾園 暁
(本記事は『トンボハンドブックから抜粋し、一部改変しています)

チョウトンボ♂(羽化直後)

トンボってどんな昆虫?

●トンボとは?
トンボとは、トンボ目に属する昆虫の総称で、その起源は古く約2億年前の中生代ジュラ紀にはすでに現在のトンボ目に似た形態の昆虫が存在していたことが示唆されています。
 
●どれくらい種類がいるの?
現在は世界に約6,400種、日本では206種が記録されています。
 
●トンボの特徴
さなぎの期間がない不完全変態の昆虫で、卵から幼虫、成虫へと成長します。成虫は大きな複眼と細長い体、よく発達した4枚の翅が象徴的で、その美しい姿や飛行能力の高さも特筆すべき点と言えるでしょう。ウスバカゲロウなど外見の似た昆虫とは、翅に結節のあることが大きな区別点となります。
 
●トンボの食性
大半の種は、幼虫期を水中で過ごす水生昆虫でもあります。幼虫、成虫とも肉食性で、昆虫や小型の動物類を捕食します。

トンボの翅の結節(ギンヤンマ)

トンボとよく間違えられるツノトンボ。触角は非常に長く、翅には結節がない

アキアカネ♀を捕食するマダラヤンマ♂

トンボの一生

トンボは、さなぎの時期をもたない不完全変態の昆虫だと前述しましたが、ほとんどすべての種が幼虫期を水中で過ごすため、水辺とは切っても切れない生活を送ります。
 
成熟したオスは水辺でなわばりをもつか、広範囲をパトロール飛翔してメスを探します。メスはオスと交尾した後、水中や水辺の植物などに卵を産みます。

マユタテアカネの交尾(上が♂)

卵は数日から数か月で孵化し、幼虫(ヤゴ)となります。アオイトトンボ科やトンボ科アカネ属では、越冬期間を含め半年近くを卵で過ごすものもあります。
 
孵化した幼虫は水中でほかの昆虫や小さな魚、甲殻類などを捕食して成長します。幼虫期間はウスバキトンボなどの約1か月からムカシトンボの5〜6年と、種によって大きな差があり、河川(流水)性の種のほうが長い傾向があります。

コヤマトンボの幼虫(ヤゴ)

十分に成長した幼虫は、上陸して羽化します。やがて成熟した成虫は繁殖のために再び水辺に戻り、交尾や産卵を行います。

かっこいい! 日本のトンボ6種

・とってもスリムな見た目 キイトトンボ
 
ゆらゆら草につかまっている何か……よーく見たら、細いトンボだった! なんて経験はありませんか? それはイトトンボの仲間。細いだけでなく、黄色や青、赤などの美しい体色をしています。

キイトトンボ

・速くてかっこいい! ギンヤンマ
 
水辺をびゅん! と飛ぶ大きなトンボ、ギンヤンマ。虫取り少年・少女の憧れの虫のひとつですが、速すぎて網で捕まえるのは至難の業かも?

ギンヤンマ

・♀は日本最大のトンボ オニヤンマ
 
ギンヤンマと並んで憧れのトンボであるオニヤンマ。ギンヤンマよりも大きく、複眼は金緑色に輝いています。さらに、体の色はいかにも強そうな黄色と黒のしましま模様。

オニヤンマ

・日本の原風景 アキアカネ
 
赤い体色が美しい、その名もアキアカネ(秋茜)。かつてはいたるところで見られましたが、近年激減しておりそのゆくえが心配されています。

アキアカネ

・近年、各地で減少している ノシメトンボ
 
翅(ハネ)の先が褐色であることが特徴。よく見かけるトンボですが、コノシメトンボやリスアカネといった似た仲間がいるので見分けは注意が必要。

ノシメトンボ

・美しく青紫に輝く チョウトンボ
 
水辺でゆらゆらときらめく青紫色の翅が見えたらそれはチョウトンボかも。ほかのトンボとは一線を画す見た目のトンボです。

種類を調べたいときにはコレ! トンボハンドブック

日本産トンボ目の全206種のうち本州に分布する121種を収録した、持ち運びしやすいハンディ図鑑。
 
成虫の雌雄や未成熟個体などのバリエーションを白バック写真で掲載しているので、とっても見やすい! さらに、色や形・大きさ・生息環境から科を絞り込める検索表に加え、種までたどる検索表で類似種との比較することにより、発見したトンボを見わけることができます。

トンボハンドブック 商品詳細
 
全国の書店・オンラインストアでご注文いただけます。電子版も発売中!
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Author Profile

尾園 暁(おぞの あきら)

1976年大阪府生まれ。神奈川県在住の昆虫写真家。日本自然科学写真協会(SSP)会員、日本トンボ学会編集幹事。著書に『ネイチャーガイド 日本のトンボ改訂版』(文一総合出版)、『くらべてわかる トンボ』(山と溪谷社)など。日々の活動を綴るブログ「湘南むし日記」は毎日更新中。

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