メスが口を開けたのを合図に、産卵を始めるサケ(シロザケ)
海で育ち、秋の川に遡上してくるサケ。親の命がけの産卵のあと卵は川の中で孵化し、幼魚になるとまた海へと下っていきます。
そんなサケの生態を岩手県の川で追いかけた写真絵本、『ふるさとの川をめざす サケの旅』から、サケの基礎知識と絵本の概要をご紹介します。
Q1 サケにはどんな種類がいるの?
『ふるさとの川をめざす サケの旅』に登場するシロザケは、サケ科サケ属の魚です。
サケ科の魚には、背びれとおびれの間に、「あぶらびれ」という小さなひれがあります。砂利に穴をほって一生に一回だけ産卵したのち命を終えることも特徴です。
日本で見られるサケ科サケ属の仲間には、シロザケのほか、サクラマス、カラフトマス、ベニザケがいます。日本の河川にそ上するサケの多くはシロザケで、別名アキサケ・アキアジとも言います。サケ科の魚の中には、同じ種でも暮らす場所で名前が変わる魚がいます。たとえば一生を川で過ごすヤマメは、食べ物を求めて海へ降り大型化するとサクラマスという名前になります。またベニザケは数年を湖で過ごしたのち海に降りますが、海に降りず湖に残ったものはヒメマスと呼ばれます。こうした生態は、環境の変化に対応し、生き残るための戦略なのかもしれません。
Q2 オスとメスの見た目のちがいは?
成長したサケは、オス・メスともに海では銀白色です。産卵期をむかえると、「婚姻色」という黒や緑、赤、黄色が入り混じった模様があらわれます。産卵期のメスは顔が丸く、オスに比べて目が大きいです。一方オスは鼻先が大きく曲がり、背の部分が盛り上がります。銀白色のサケを「ギンケ」、産卵期のサケは、ブナの木の模様にたとえて「ブナケ」と呼ばれています。
Q3 サケは海へ出た後、どんな暮らしをしているの?
日本の川をはなれたサケの赤ちゃんは、北海道周辺のオホーツク海から北方のベーリング海へと進みます。シベリアの沖やアラスカ湾を回遊しながら魚や甲殻類を食べて大きくなり、3〜5年かけて大人になります。再び川へと帰ってくるまでの移動距離は10,000〜30,000キロメートルとも言われ、最大で地球を半周以上もしていることになります。
サケは海へ出て成長し、生まれた川へ帰ってきます。『ふるさとの川をめざす サケの旅』では、岩手県の河川を舞台に、サケの遡上・産卵・サケの赤ちゃんの暮らしを貴重な写真とともに解説。サケを見守る地元の人たちとのつながりも知ることができます。
『ふるさとの川をめざす サケの旅』
東日本大震災の川でくり広げられる、世代をつなぐ命のドラマ!
秋。4年前に生まれて川から海へと旅立ったサケたちは、産卵のため、ふるさとの川をめざします。そして目的を果たすとそのまま生を終えるのです。冬に卵からかえったサケの赤ちゃんはどのようにして育ち、旅立ちの日までをすごすのでしょうか。水の中でくり広げられる命のドラマを追いました。
平井佑之介 写真・文 / B5判 / 48ページ
ISBN 978-4-8299-9020-9 2024年8月31日発売
定価2,200円(本体2,000円+10%税)
オンライントークイベント開催決定!
写真家・平井佑之介 ZOOM配信オンライントーク「 ふるさとの川に帰ってくる?! 水の中で見たサケたちの命をかけた瞬間!」
日時 :2024年11月14日(木)19:00~20:00
参加方法:Zoomウェビナーによるライブ配信
参加費:無料
定員:450人(先着順・無料)
主催:株式会社文一総合出版
講師:平井佑之介(いきもの写真家)
予約方法:上記リンク(Peatix予約ページ)よりご予約ください。
『ふるさとの川をめざす サケの旅』のより詳しい制作秘話・裏話はこちらから!
水の中で見つめるサケの瞳
Author Profile
平井 佑之介(ひらい ゆうのすけ)
1988年、東京生まれ。大学で動物行動学を学び、写真を通して「今を生きる」生き物たちの姿を伝え、人と動物、そして自然がともに暮らせるきっかけを作りたいと写真家を志す。伴侶動物であるイヌやネコから、イルカやビーバーなどの野生動物まで幅広く撮影している。本書ではQ&Aのイラストも担当。