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  • 鳥

6/4 2025

ポケットのなかには、野鳥の小ネタ

ポケットに収まる野鳥図鑑『野鳥手帳 第2版』はきれいなイラストで身近な野鳥を紹介していますが、じつはさらっと読めるコラムも充実。今回は、そんな野鳥手帳から明日、誰かに話したくなる野鳥の小ネタを紹介します。

いちばん速く飛ぶ鳥は?

鳥の飛ぶ速さは、種類によってかなり違う。速い鳥の代表は、なんといってもハヤブサだ。その最高スピードは、翼をたたんで急降下したときで時速300~350㎞といわれている(新幹線と同じくらいのスピードだ!!)。ハヤブサほどではないが、アマツバメの仲間のハリオアマツバメは、水平飛行で時速約150㎞も出るという。ちなみに、スズメなどの小鳥類は、水平飛行で時速40~50㎞ほどといわれる。

どうして海水を飲むの?

アオバトが海水を飲む理由は、はっきりとはわかっていないが、食べ物が関係していると考えられている。アオバトが海水を飲む時期は、5~10月ごろまでが多く、冬期に海水を飲むことはない。アオバトが冬期に食べるコナラなどのドングリ類にどれくらいのミネラルが含まれているかはわからないが、夏に海水を飲むのは、不足するミネラルを補うためではないか、と推測されている。

一夫多妻の鳥

日本で繁殖する野鳥の中では、一妻多夫の鳥はタマシギとミフウズラが知られている。雌が雄に求愛ディスプレイを行い、雄と交尾して卵を産む。その後、子育ては雄に任せて移動し、そこでまた別の雄と同じ行動をとって卵を産むのが一妻多夫である。
しかし近年の調査で、タマシギは雌雄とも別々の相手と数回繁殖するので、一妻多夫とはいえないかもしれない、といわれている。

聞きなしってなんですか?

鳥のさえずりを、人間の言葉に置き換えて表したものを「聞きなし」という。有名なのは、ウグイスの「法(ほう)、法華経(ほけきょう)」。ヒバリの鳴き声は「日一分(ひいちぶ)、日一分、月二朱(つきにしゅ)、月二朱、利取(りと)る、利取る」と、金貸しのような聞きなし。センダイムシクイは酒好きがつけたのか、「焼酎一杯(しょうちゅういっぱい)、グイーッ」。
自分で聞いた鳴き声に、自分なりの聞きなしを当ててみるのもおもしろい。

高山の鳥

高山帯とは、森林限界より上の標高の、四国や本州では約2,500m以上、北海道では約1,500m以上の山を指す。そして、ハイマツ帯を含んだ、それ以上の標高の場所を繁殖地とする鳥を、大まかに高山の鳥と呼ぶ。しかし、高山の鳥に正式な定義はなく、野鳥愛好者の間で便宜的に使われているにすぎない。ライチョウを筆頭に、イワヒバリ、カヤクグリ(未掲載)、ホシガラス、メボソムシクイなどが当てはまる。

野鳥手帳 第2版

文・写真 叶内拓哉 / イラスト 水谷高英  四六変型判  208ページ
ISBN 978-4-8299-7259-5  2025527日発売
定価1,760円(本体1,600円+10%税)
 
十数年ぶりに見直された新しい分類(日本鳥類目録改訂第8版)に対応。似ている鳥を見分けるための特徴はイラストで、実際の見え方や生息環境は写真を使って紹介するハンディサイズの野鳥図鑑。雌雄、成鳥・幼鳥、夏羽・冬羽など羽衣の違いをイラストで紹介。日本の野鳥244種を収録。野鳥が見つかる場所、観察におすすめの季節、見つけた鳥の検索表など、バードウオッチング初心者に必要な情報を充実させました。
 
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Author Profile

叶内 拓哉(かのうち たくや)

野鳥写真家。1946年、東京都生まれ。子どものころから動植物に興味をもつ。主な著書・共著書に『鳥景色』(講談社)、『鳥に会う旅』(世界文化社)、『りんご 津軽リンゴ園の1年間』(福音館書店)、『ポケット図鑑 日本の鳥300』『フィールド図鑑 日本の野鳥 第3版』(文―総合出版)など多数。

Author Profile

水谷 高英(みずたに たかひで)

イラストレーター。1951年、岐阜県生まれ。武蔵野美術短期大学卒業。主な著書・共著書に『フィールド図鑑 日本の野鳥 第3版』、『野鳥フィールドスケッチ』(文一総合出版)、『小学館の図鑑NEO 鳥』(小学館)など。『みる野鳥記』(あすなろ書房)で第40回産経児童出版文化賞を受賞。

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