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BuNa コラボ企画

Collaboration

8/7 2018

カマキリ先生に対抗!? ゲンゴロウ vs タガメの魅力とは

いきなり「ゲンゴロウとタガメ、どっちが好き」って聞かれたらどうします?
ふつう何それってなりますよねー。
そんな尋常ではないイベント、【The対決 ゲンゴロウvsタガメ~カマキリ先生への挑戦状~】があるというので、編集部Tがさっそく調査に行ってきました。

タガメ推しのカマキリ先生に対抗

ここは福島県会津磐梯山の麓「アクアマリンいなわしろカワセミ水族館」
なんと風光明媚、瀟洒(しょうしゃ)な建物でしょう。

アクアマリンいなわしろカワセミ水族館。背景に磐梯山がそびえる

飼育員の平澤さん、笑顔が素敵

 
飼育員の平澤さんにご挨拶
編集部T「おはようございます。よろしくお願いします
平澤さんは知る人ぞ知るゲンゴロウ界の達人。
 
 
建物に入っていきなり目に飛び込んで来たのは巨大タガメ、何これー。
 
平澤さん「那須野が原博物館のお近くに住んでいるサラリーマンの方がマットレス素材で作ったレプリカです!」

大人の身長ぐらいある巨大タガメのレプリカ

よく出来ている、半端ない……。
 
忘れていたが、タガメとゲンゴロウについて一応説明しておくと、
 
【タガメ】カメムシ目(もく)コオイムシ科に属する1種で、
北海道~沖縄の水辺に生息し、体長48~65ミリと日本の水生昆虫のなかでも最大級。
大きな鎌状の前脚で小魚やオタマジャクシ、ときにヘビまで捕食するという、子どもから大人まで大人気の生きもの。
しかし、最近は数が減ってなかなか見ることができないのが残念だ。

タガメのオスの背面(撮影:平澤桂)

かたやゲンゴロウとは、コウチュウ目ゲンゴロウ科のグループ全体を指す場合と、ゲンゴロウ1種のこと(ナミゲンゴロウともいう)を指す場合の両方ある水生昆虫。
ナミゲンゴロウで言うと北海道~九州の水生植物が豊富な止水に生息し、肉食で、弱ったり死んでしまった昆虫や魚を食べる水中の掃除屋さんである。
体長34~42ミリ、ゲンゴロウの仲間では最大級でかつ美しい。
かつては多く生息していたが、やはり今は数が減っているという。

ゲンゴロウのオスの背面(撮影:平澤桂)

 
みなさんは、某テレビ番組で、カマキリ先生なる人物がタガメ愛を強烈にアピールしていることをご存知だろうか。
それに対して「じゃあゲンゴロウはどうなのよ?」と一方的に挑戦状を叩きつけたというのがこのイベントの趣旨らしい。
 
会場は1号館と2号館の2会場があり、1号館は参加体験型スペース、2号館は展示スペースとなっている。
さっきの巨大タガメは1号館にあり、異常な存在感を示していた。
 
と、側では何やらタガメとゲンゴロウの着ぐるみを着た変なおじさんたちが楽しそうにしているではないか。
童心に帰っているのだろうか……。

中央の人がタガメ、右の人がゲンゴロウの着ぐるみをきて飼育員の平澤さん(左)と遊んでいた

ゲンゴロウ推し、略して “オシゲン”

展示では「狩」「食」「変身」「におい」「衣装」の5つのテーマを体験して、ゲンゴロウとタガメ、どちらが好きか、あるいは印象に残ったかを、それぞれに投じたビーズの数で競ったり、熱い一言を残してもらっているとのこと。
ツイッターで途中経過をあげているそうなのでぜひ見てみよう。
 
平澤さんはもちろんゲンゴロウ推しで、ここでは “オシゲン” と呼ぶ。
 
ところで、ゲンゴロウの何がそんなに人を夢中にさせるのか、聞いてみた。
 
平澤さん「私の場合、東京で過ごしていた小3のときに、縁日でナミゲンゴロウを小遣いで買ったのが運命的な出会いでした」
 
やっぱり幼少期の体験って大事ですね。
 
「16年後、大人になって福島にやって来て再会、もう夢中です」
 
しかし、ゲンゴロウのどこがそんなにいいのだろうか。
 
「とにかく顔がカワイイ。あのまん丸とした黒い眼、正面から見たらたまりません」
「あと、漆塗りのようなまさに漆黒の色や、形の精巧さ、カッコよさも魅力です」
「生態や生活史も面白いですね。種によって違うんです。幼虫期が冬のものがいると思えば夏のものもいるし、幼虫と成虫でまったく形が変わる(完全変態する)ところも興味が尽きません」
「最近は体長5ミリ以下の種にはまってます。小さくて同じように見えても、わずかに違うところを探すのが面白いです。そうするとパッと見るだけで大体種類がわかるようになりますよ」
 
そ、そうなんですかー。
 
じゃあ、いつか新種を発見できるといいですねー。
 
「……(明らかにうれしそうな表情)」
 
では一番好きなゲンゴロウは?
 
「オオイチモンジシマゲンゴウです!」
 
??? 知らないんですけど。

これがオオイチモンジシマゲンゴウだ! もちろん展示されている。(撮影:平澤桂)

 
「ゲンゴロウが好き過ぎて『ゲンゴロウ・ガムシ・ミズスマシハンドブック』という図鑑を仲間と作りました」
 
成虫の背面・腹面・正面はもちろん、幼虫の写真を生きたまま白い背景で撮るのが大変だったとか。
 
「とにかくじっとしていないんですよ」
「苦心の末、オリジナル撮影法を開発しました」
「1匹撮影するのに3時間ぐらいかかります」
「売店でサイン本売らせていただいてます!」
 
ははー、参りました。
 

生きているタガメとゲンゴロウを見てみよう

ということで、標本や生体が展示してある2号館の展示を見に行くことに。
まず入ってびっくり、なんと落ち着きのあるスタイリッシュな空間なことか。
 
左壁面にビッチリ並んだ標本が目を引く。
「日本のゲンゴロウは全部で150種いますが、この標本箱には138種あって、さらに追加予定です」
「こんなに集めて展示したのは、おそらく日本初です!」
えー、と驚きつつも今一つその真価がわかっていない。
 
突然ですが、タガメ・ゲンゴロウマニアのみなさま、お待たせしました。
これを見ておかなくてどうなりましょう。
何と約80種を種ごとに20センチ大の透明キューブで飼育、大きなものから小さなもの、普通種から希少種まで日本全国から集められた生体が実に生き生きと泳ぎ回っているではありませんか。
 
たしかにカワイイ……やっぱり生きた状態はいいです。
 

まるで都心のショールームのような2号館生体展示室

産卵して卵を守るタイワンタガメ(中央、棒の上)。日本のタガメより大きくて迫力満点!

マルチビゲンゴロウ。体長約1.5ミリと福島県で一番小さいゲンゴロウの仲間らしいが、どこにいるのかすぐにわからない……

 
 
変わったイベントに惹かれてはるばるやって来たがたしかにゲンゴロウとタガメは魅力的な生きものだった。今度は実際に野外で生活しているところを見たいものだ。
そんなことを思いながらじっくり眺めているとあっという間に一日が終了。名残惜しくもカワセミ館を後にした。
 
きっとまた来よう。
 
 
 
※企画展【The対決 ゲンゴロウvsタガメ~カマキリ先生への挑戦状~】は2018年9月30日まで開催。詳しくはhttps://www.aquamarine.or.jp/kawasemi/project/
 
平澤 桂(ひらさわ・けい)Profile
1976年東京都生まれ。(公財)ふくしま海洋科学館、アクアマリンいなわしろカワセミ水族館勤務。ゲンゴロウ類を中心とした水生昆虫類、海浜昆虫の調査、研究、保全活動を行っている。日本トンボ学会会員、日本冬虫夏草の会会員、日本半翅類学会会員、福島県ふくしまレッドリスト見直し調査昆虫類分科会委員、希少野生動植物種保存推進員。

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BuNa編集部

株式会社 文一総合出版の編集部員。生きもの、自然好きならではの目線で記事の発信をおこなっている。

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