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BuNa コラボ企画

Collaboration

4/25 2018

生きもの好きな人におすすめ! 雑貨店「うみねこ博物堂」が発信する、自然の魅力

うみねこ博物堂という雑貨屋さんをご存知ですか?
昆虫・鉱物・種子などの標本や、自然科学関係の書籍、和洋の古いものを取り扱っているお店です。BuNa編集部も何度かお邪魔したことがあるのですが、ふつうのお店にはない商品がたくさんあり、特に自然・生きもの好きにはたまりません。
今回はBuNaを運営している文一総合出版の書籍フェア開催をきっかけに、店主の小野広樹さんご夫婦にお店のこだわりをインタビューしてきました。そこで見えてきたのは、根底にある「自然のおもしろさを伝えたい」という思い。不思議なだけじゃない、博物雑貨の物語を語っていただきます。
(編集:BuNa編集部 今井)

ガイコツくんの左手を少し先に進むと、お店の入り口があります。

お店の看板のマークは、妻の愛子さんが描き、消しゴム判子で作ったものだそう

 
お店があるのは、東京駅から電車で1時間ほどの神奈川県相模原市。最寄りの東林間駅からは歩いて約5分。周辺には雑貨店「ナツメヒロ」さんや、「海福雑貨」さんなど雑貨屋さんが多く、歩いてじっくりまわりたいエリア。
 

店内の様子。生きものモチーフの雑貨や作品がたくさん!

棚や木箱には、貝やウニ殻、鉱物など見入ってしまう商品がずらり

仕事を辞めて、急展開! 背中を押されてお店を開くまで

―― 以前から、文一総合出版の書籍やクリアファイルをお店に置いていただき、イベントでもお会いしていましたがお話をじっくり聞くのは初めてだと思います。今日はよろしくお願いします。まず、このお店を開いたのは店主の小野さんが仕事を辞めてすぐだったとお聞きしているのですが、どういった経緯があったのでしょうか?
小野広樹さん(以下、小野さん) 一応11年くらい同じ会社に勤めていたんですけど、仲のいい生きもの好きの間で雑貨屋さんをやったらおもしろいんじゃないかという話が出て。その話が出てから、会社を辞めて独立するまで決断する期間がすごく短かったんです。
小野愛子さん(以下、愛子さん) ツイッターのフォロワーさん同士で、理想のアトリエ兼ショップのお店をやってみたいという話で盛り上がったことがあったんです。その3ヶ月後にはお店をやりたいということになって、2015年の9月には会社を辞めて、という感じです。(※お店は翌年2016年の5月にオープン)
小野さん たぶんそういう雑談がずっと心の中に沈んでたんでしょうね。だから、(2015年の)6月くらいに会社の雰囲気が変わったときに、これはどうなんだろう……と思って、 ぽっと雑貨屋をやることを思いついて。そこから2週間くらいで、あ、いけそうだね、辞めちゃえと。けっこう急展開な感じで始めちゃいましたね。
―― 仕事を辞めてお店を開くというお話を伺ったときは、愛子さんとしてはどうだったんですか?
愛子さん 仕事を辞めることに関しては「やめたれやめたれー」という感じだったんですけど、自営でやりたいと言われて、そっちか~と。 ただ、その前から、それこそ昆虫大学(※1)があって、博物ふぇすてぃばる(※2)があって、イベントに出たりはしていました。あとは人付き合いだとかそういう基礎の部分はできていたので、お店をやってもこれはいけるかなと。そういうことは思っていました。
1. 昆虫大学……メレ山メレ子さんが主催している、虫好きによる虫を楽しむイベント

2. 博物ふぇすてぃばる……博物学ゆかりの題材からなる、グッズ販売や発表を行なっているイベント

—— もともと広樹さんは虫好きで、イベントには愛子さんが作られている「ひよこまめ雑貨店」シリーズの商品を出店されていたんですよね?
愛子さん そうですね、わたしがものを作って、店ではないんですけどイベントに出て、自然や生きものの雑貨の需要そのものはあるっていうのはわかっていました。 あとは450代になってからお店をやるよりリスクは少ないなと思って(笑)、お店をやるならとっととやろうということで、かなり身も蓋もない話ですが。

小野広樹さんと、愛子さん

ひよこまめ雑貨店のハエトリグモポストカード

小野さん 性格がせっかちなので、「おもしろいこと思いついちゃったから、じゃあやろう」と、けっこうカジュアルに会社は辞めましたね。リアルなところでは出店する場所も考えて、海福雑貨店さんと付き合いがあったのでここ(東林間)がいいかなって。
愛子さん 思ったより行き当たりばったりでした。でも、自営業をされている海福さんとかに聞いても、やったれやったれーと。止めてくれたのは古物屋さんだけでした(笑)。
小野さん 背中を押してくれる人ばっかりでした。
―― オープンから約2年経ってみて、今はどうですか?
小野さん 手応えはかなり感じていて、これならやっていけそうだなというところまでは来ていますね。
―― 常連さんもいらっしゃるのですか?
小野さん むしろ常連さんの方が多いですね。リピーターの多くの方は虫の標本を買われます。うちはリピーター率が高いです。あとは作家さんのファンがいて、たとえば、ついこの間入荷した人気の作家のものだと「あまのじゃくとへそまがり」さんの革製品ですね。
―― 虫やいきもの全般の作品を定期的に置いている雑貨屋さんって、なかなかないですよね。何か商品を選ぶときの基準はあるんですか?
小野さん 自分の好きなものです(笑)。  自分が気に入って、ああこの人の作品は好きだなって思ったもの。それが店の雰囲気に合いそうであればOK。完全に個人のお店なのでしがらみが全然ないんですよ。だから完全に好みで選んでます。

左上から虫かご、魚型の皿、アメリカ製のおもちゃのトースターセット、昔の陶器製手榴弾

色とりどりの鉱物ゾーン
(写真:うみねこ博物堂)

おもしろさをダイレクトに伝える、昆虫標本

―― 最初に、絶対これをお店に入れたい、という商品はあったんですか?
小野さん 昆虫標本ですね。あとは書籍。まずは標本と本が軸になっていて、標本の中には虫、鉱物、木の実、貝殻などを取り揃えています。自然物っていうくくりが大きくて、それらに関連する本を置いています。あとの大きい柱は古物。たとえば、もともと僕が好きなガラス瓶とかレトロなものですね。古めかしいものと、標本とか鉱物みたいな博物っぽいものって、相性がいい感じなんですよ。なんとなく雰囲気が合うというか。それで、そのへんのものをいっぱい詰め込んだお店ができたらおもしろいんじゃないかなっていうことで、スタートしたんです。
―― 虫や標本については詳しくないお客さまも多いと思うのですが、よく質問されることは何かありますか?
小野さん 虫をどこから見つけてくるんですか、みたいなことはよく言われますね。あとはどうやってこの標本の状態にまでしてるのかっていうことですね。そもそも標本として売られるまでを虫屋(※虫好きの総称)じゃないお客さんは知らないので。甲虫に関しては僕が標本を作ってるんですけど、そもそもこの虫がどこから来てるのかっていうことは聞かれます。

奥にある昆虫標本の棚。最初は勇気がいるかもしれないが、開けてみれば、そこにはきらめく世界が待っている……

タマムシ科の標本箱。引き出しから出して机の上でじっくり見させてもらえる。もちろん気に入ったものは購入可能。
(写真:うみねこ博物堂)

小野さん 虫の標本はほとんどが派手なもので、外国の虫が中心なんですけど、大体は海外に標本商と言われる虫を商う業者がいるのでそういうところから輸入しています。もう届いたときには虫がパック詰めになっていて、脚なんかも縮まった状態なので、それを整えて、僕自身で商品として出すっていう作業はやっています。
世界各国から取り寄せていて、あ、これはきれいだなとか、かっこいいとか、地味なものもあるんですけど個人的に好きな虫をここに取り揃えています。
―― その虫ルートはどうやって開拓されたんですか?
小野さん 意外にインターネット上に連絡先が書いている業者もいますし、あとは知り合いのツテっていうのもあります。この店を始める前、僕が会社で働いていたときからなんとなく虫を集めていたので、そのときから買い物先として使っていた業者がそのまま、というのはありますね。特にこのへんのタマムシとかが僕は大好きで、主にアフリカの業者から買っています。
―― やっぱりおすすめは甲虫?
小野さん そうですね、僕自身が甲虫が大好きで、何しろ形や色や種類の多様性が半端ないグループなので見ていても楽しいし。
―― その中でも特にお気に入り、というのは。
そうですね……タマムシかな。フトタマムシというのは比較的乾燥したところにいるタマムシなんですけど、けっこう装甲が分厚くて体も硬い、ずんぐりしてるタマムシです。まぁ地味なのも多いですけどね。これとかちょっと紫っぽい光沢がある。これはムラサキフトタマムシっていう、アンゴラにいるタマムシです。個人的にこのグループがお気に入りです。

ムラサキフトタマムシ(アンゴラ産)。
翅は青から赤へと変わる美しい色が見られる。

砂漠のゴミムシダマシ(写っているものはどれもアフリカ産)。こちらもどことなく木の実のような丸い形の、つやつやとしたフォルム。
(写真:うみねこ博物堂)

―― かっこいい! なんか、実みたいな形ですね。
小野さん そう、木の実みたいってよく言われる。とにかく甲虫ですよねおすすめなのは。あとは、超地味なやつもいるんですけど、立体的なおもしろさというか彫刻的なおもしろさがあります。形がおもしろい。これはゴミムシダマシの仲間で、砂漠にいる連中ですね。 乾燥しているところにいるゴミムシやゴミムシダマシの仲間って、水分の蒸散をできるだけ抑えたいので体がころんと球体に近い形になっていて、空も飛ばないので鞘翅(さやばね)なんかはくっついちゃって開かない。こういう虫は大好きです。

ただ、虫の標本を売る葛藤というか……好きなので、やっぱり良心がとがめるところもあるし、そういうのは一生続くところだと思いますね。でも、お客さんにおもしろさをダイレクトに伝えられるのが実物であり、標本だとも考えているので。もちろん本の情報量もものすごいですけど、目の前で虫そのものを見るっていう、それで伝わる魅力はすごくあると思います。
―― うみねこさん以外のところだと標本箱を開けて見ることがないので、買う買わないというよりも、ガラスを挟まずに見られるのがいいですよね。この細かい色、輝きがすごい! と、感動します。
小野さん この近距離で、きれいな蝶を見るっていう機会はあまりないですよね。もちろん博物館に行けば見られますけど。蝶なんかは光が当たるところに出しておくと特に日に焼けるので、こういう棚に入れて、見るときに出します。やっぱり買ったあとに色あせてがっかりしちゃうのは申し訳ないので、もし購入されたら暗いところに置くなり、UVカットガラスを使うなりの対策がベターです。
―― 以前伺ったときにそう聞いたので、家にあるものはなるべく光の当たらないところに置きました。そういうことも、見ながら教えてもらえると助かります。

棚の中には海外で買い付けた陶器、アクセサリーなども置いている。

鳥や虫の博物画。版画とは思えない細かさ。
(写真:うみねこ博物堂)

生きもの雑貨を楽しめる時代

―― こちらの虫の絵は、版画なんですか?
小野さん はい、まず白黒で刷って、色は手塗りでやるっていう昔の時代のものです。
―― てっきり色も刷っているのかと思ってました。版画でこんなに細かい線が出るものなんですね。
愛子さん これは銅版画です。何しろ金属のひっかき傷でつけるものなので、銅版ってすごい細かい表現ができるんですよ。
―― お2人とも詳しいんですね。
愛子さん お店をはじめてから勉強しました(笑)。当時は徒弟制度で、親方が刷って職人さんの見習いの人たちが塗っているものもあったので、けっこう塗りが下手な作品もあります。
―― じゃあこれも、見習いの人が塗ったのかもしれない。

細かい線の1本1本まで見える
(写真:うみねこ博物堂)

小野さん こういうのを1枚ずつ額装してお部屋にかけたりとかするのもいいですよ。ただ、お客さんの買い方としては美術品的な買い方をする人は少なくて、自分の好きな生き物が描かれているのが気に入って買って行く方が多いです。すごくカジュアルに何枚か買ってきます。たとえばハエの研究者が、「あ、自分のやってるテーマの虫がある」って言ってハエの絵を買われたり。ほかには甲虫屋さんとかカメムシ屋さんとか。
―― 虫の雑貨ってなかなか売っていないですよね。
小野さん そうですね。生きもの系のイベントがここ数年盛り上がってるのは、多分そういうことなんですよね。
今まで需要は潜在的にすごくあったんと思うですけど、供給する場があまりなくて。作ってる人はもちろんいたんですけど。発表の場とか大々的に売る場もそんなに無かったところに、博物ふぇすてぃばるであったり昆虫大学であったりイベントができて、「世の中にはこんなのを作ってる人がいたのか」というのが割とみんな衝撃的で、買い物を楽しんでるんじゃないでしょうか。
―― そういう情報が拡散しやすくなったのかもしれない?
小野さん それは相当ありますよ。SNSで広まることが今はすごくあるので。twitterなりinstagramなり、その辺で情報を仕入れて、自分の好きなものや欲しいものが見つかって、というのはいい時代なんじゃないかな。

お小遣いを握りしめて、子どもたちが鉱物を買っていく

―― 商品全体で、今1番おすすめというものはありますか?
小野さん お気に入りは、蛍石(ほたるいし)。よく八面体に割った蛍石は売っているんですけど、こういうきれいに劈開(へきかい)をしている、クオリティの高い石ってあんまりなくて。鉱物は決まった方向に割れる性質(劈開)がけっこうあるんです。蛍石の場合はそういう性質がすごく顕著で、うまく加工していくと八面体に仕上がるわけです。
―― 人工的に割っているんですか?
小野さん そうです。産出はもちろん不定形で、それを現地の職人さんの人が加工するんですけど、どうしても多少形が崩れちゃったりとか。触ってみるとわかるんですがごつごつしていて。これが今までよく売られている八面体。中国で加工してくる蛍石なんですけど、これをさらにきれいに仕上げる職人さんに最近会ったんです。春雨さんという方で、比べると一目瞭然です。

小野さんいちおしの鉱物、蛍石
(写真:うみねこ博物堂)

一番左の石が加工していないもの。
真ん中が現地の職人さんのもので、一番右が春雨さんの蛍石

―― 確かに全然違いますね。こういったものはどういう方が買われるんですか?
小野さん うちは若い女性の方が多いです。
―― 私もたまに買っちゃいます。子どものころにも買ったことはあるんですけど、今はこういう値段もお求めやすいものがあって、いいなと思います。
小野さん やはり、その辺が入り口になっているかなと思います。小学生くらいの子どももやっぱり買いに来るんですよ。お小遣い握りしめて。300500円とかの鉱物を、目をキラキラさせながら買ってくれるんです。それで、大人になって思い出して買うこともありますよね。ちっちゃいときからこういうのが好きな子は必ずいるけど、好きな気持ちをずっと持ち続けたまま大人になる人ってあんまりないと思うんです。だから、そういう人が多くなるといいなとは思ってますね。生きものだけではないにしても、自然全体に対する興味を持ってくれている人が増えた方が、これからちょっとは社会は良くなってくるんじゃないのかなって思うわけです。
―― うみねこさん以外で、鉱物は売っていてもここまで自然の物も売っているお店って、なかなかないかもしれない。
小野さん いっぺんにミックスされているお店はあまり無いかなと思います。
―― 博物堂ですしね。

圧倒的な量のガラス瓶。きれいです
(写真:うみねこ博物堂)

いっぱい集めちゃう。収集癖から商品へ

―― このたくさん置いてあるレトロなガラス瓶は、何をきっかけに集められるようになったんですか?
小野さん 昔から、虫の調査で海岸にはよく行ってたんです。そのうち、ビーチコーミング(海岸で貝などの自然漂着物を拾うこと)に目覚めだして、いろいろ拾ってくる中に瓶もあったんですよ。「なんだこの瓶は?」って帰って調べているうちにおもしろくなって、そのうちガラス瓶を集めるっていうのが目的化してきた(笑)。海には瓶を拾いに行きはじめて、どんどん発展して骨董市とか古物屋を回ったりとか、落ちてないものも集めるようになった。楽しくなっちゃって。で、お店やるんだったら好きなものを置きたいなと思って。生きもの屋ってみんなそうだと思うんですけど、収集癖があってこういうことになるんですよ。なんか集めちゃうんです。

外国の変わったかたちのタネもたくさん売っている

通称ハンバーガーマメ。右の4つはジオクレア属(Dioclea)のもので、一番左のものは不明。どら焼きのようにも見えるが、さわるととても硬い(写真:うみねこ博物堂)

―― このタネや実も、やっぱりいろいろ集めたくなって取り揃えているんですか?
小野さん そうですね、自然の造形のおもしろさがあって。へんてこな形って、興味をそそるというのもあるんですけど、機能があって無駄な形をしてないんですよね。これなんかもフックみたいなものが付いていて、動物に散布してもらうために、毛とかにくっついているんじゃないかなって。あとは、たとえばこのハンバーガーマメ、これ水によく浮かぶんです。海流に乗って散布されるんですね。
―― たしかに、浮きそうな形をしています。
小野さん こういうのは、何ヶ月も海の上をぷかぷか流れて、新天地を目指すタネですよね。
―― 何か植えてみたことはありますか。
小野さん ありますよ。芽が出るのがけっこういろいろあります。特にマメ科は発芽能力をずっと持っているので、すごい硬いけどドリルで穴を開けます。
―― ドリルで穴!?
小野さん 普通に蒔いてもなかなか発芽しないんですよ。皮が厚すぎるので。なので、電動ドリルとかでばーっと穴を開けて、そこから水を吸わせるんです。そうすると吸水が始まって、それが引き金になって芽を出すんです。特にこういうモダマなんかも、何しろ長旅をしていくわけなので、発芽能力もけっこう長く持っている。
―― 裏話があるとおもしろいですね。
小野さん そうですね、やっぱりなにかストーリーがくっついているものなんですよ。
このタネなんか一見真っ黒でツルツルしてるだけなんですけど、「ああこういうものなのか」ってなると、おもしろさがさらに増えるのかなと思います。
―― 小野さんにどんどん聞いて買い物したいです。
小野さん そうですね、声をかけてもらって全然構わないです。

お店の奥にある本コーナー。
文一総合出版の書籍も置いていただいています(写真:うみねこ博物堂)

こんなにおもしろいものがいっぱいあるんだぜ

―― 本コーナーのこだわりはありますか?
新刊も置いているんですけど、古書でしか手に入らないものもたくさんあるので、本を売るからには絶対古書も売ろうと思ってこの棚を作っています。
―― その中でも特にこれは、というのがあれば教えてください。
小野さん たとえばこれなんかお気に入りです。『ハナダカバチ研究記』という本です。
―― ハナダカバチとは……?
小野さん ニッポンハナダカバチっていうハチがいるんですが、砂地に穴を掘って巣にして、ハエを詰め込んで幼虫に食わせるというハチです。
―― 砂の穴に?ハエを詰め込んで!? そんなハチがいるんですね……。
小野さん ハチ自体もすごくキレイでかっこいいハチなんですけど、生態がすごくおもしろくて。それを観察して本にした人が戦前からいたわけなんです。これは昭和23年に出た戦前の本なんですけど、はじまりの場面がですね……軍隊の野外演習から始まるっていう(笑) 戦時中のちょうど兵役に入ったところで、演習している脇で虫が飛んでるのを見ながら、「ほんとは虫をちゃんと見たいのになぁ」っていう著者のやるせない思いが書かれていたりします。
本コーナーは、自然のことをわかりやすく伝えられる選書になるように心がけています。あとは手に取りやすい価格のポケットサイズ図鑑だったり、おもしろい本だったり。
―― 根底には、自然をもっと知って欲しいというコンセプトがあるんでしょうか。
小野さん そうですね、そこがすごく大きい。こんなにおもしろいものがいっぱいあるんだぜ、っていうのを知らない人には伝えたいし、知ってる人とは共有したいと思っているので。この店を始めた理由の大きい部分です。

春のブンイチフェアのようす

―― 現在、うみねこ博物堂さんでは文一総合出版の書籍フェアを開催していただいていますが、どういった思いで開催されていますか。
小野さん やっぱりハンドブック(※)にしても値段が手頃で種類が多いので、あえて自分が興味のあるものから外した本も買って楽しんでもらいたいなと常々思っているんですよ。視野が広がるというか。たとえば虫が好きでも、あえて植物とかきのこに行ってみたりとか。生きものや自然って、常に絡まりあって繋がりがあると思うので、いろんなジャンルの本を見て欲しいと思います。
(※文一総合出版から出版している新書サイズの図鑑シリーズの通称。『イモムシハンドブック』など)
そういう意味ではこうやってフェアがあると普段店にないジャンルの幅になって選びやすくなるので、それがやりやすいのかなと思います。生きものや自然がおもしろいよ、っていうのを伝えたいがためにやってるようなお店で、その部分にストレートな図鑑や出版物ばかりなので、ぜひ今後もフェアをやってもらいたいですね。うちのお客様にもこういう機会をぜひ使ってほしいなと思います。だから、今回は虫の本ばっかりにはあまりPOPをつけませんでした(笑)。

と、言いつつもおすすめの本のひとつのハエトリグモハンドブック。
店主の小野さんの他にも、文一総合出版の編集者3人によるおすすめ本POPが置かれています

 
生きもの好きの新たな癒しスポット、うみねこ博物堂。うみねこ博物堂さんのツイッター(@umineko22)では、小野さんの生きもの発見情報やお店のアイドル・ミーミーさん(ヘビ)の最新情報も載っており、とってもおもしろいのでオススメです。
落ち着いた雰囲気の店内ですが、お店に寄られた際にはぜひお二人に自然や生きもののことを尋ねてみてください。
お店の場所:神奈川県 相模原市南区相南1-2-2 メゾンド東林間101
営業時間:11:00-19:00(定休日は毎週火曜・水曜日ですが、お店のホームページからお確かめください)
ホームページ:http://hakubutsudo.com/
うみねこ通販:http://hakubutsudo.shop-pro.jp/
Twitter@umineko22
 
※ 春のブンイチフェアは2018412日~528日まで開催中。文一総合出版の各種図鑑・書籍に加えて、『酒米ハンドブック』や、『日本水草図鑑』などの大型図鑑、野鳥専門誌『BIRDER(バーダー)』など、普段お店にない本も取り揃えています。
 

Author Profile

BuNa編集部

株式会社 文一総合出版の編集部員。生きもの、自然好きならではの目線で記事の発信をおこなっている。

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